全固体電池は大きく分けて、負極活物質(負極材)、正極活物質(正極材)、固体電解質で構成されています。
構成物質の主な材料とそれらへの自動乳鉢の応用例を紹介します。
構成物質の主な材料名とその作製における自動乳鉢の応用
全固体電池構成模式図
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全固体電池の一般的な固体電解質のプロセスは以下に示すような工程になります。
一般的に、「粉砕」にはボールミルのような粉砕機が使用され、「混合・スラリー化」には混錬機が使用されます。プロセスごとに装置を準備する必要があります。粉砕は、固体電解質の材料を100 nm~1 μm程度の粒径にするのが電気特性的には良いとされていますが、機器や電解質の材料によっては結晶が割れたりして、逆に電気特性を発揮できない場合があります。
また、低露点下のグローブボックス内もしくは真空機能付き装置で行う必要がある工程もあります。自動乳鉢を使用する場合には、グローブボックス内に入る小さなものを準備する必要があります。
石川式自動乳鉢(石川式撹拌擂潰機)は、材料の粉砕と混合を同時に行うことが可能です。この自動乳鉢の特長を活かし、固体電解質のプロセスの「粉砕」と「混合・スラリー化」工程を一度に行うことが可能となります。また粉砕工程に自動乳鉢を用いると、粉砕エネルギーがマイルドなため、結晶を壊すことなく粒径を100 nm~1 μm程度に処理することができます。このように自動乳鉢を用いることで、固体電解質工程の簡素化、効率化、高品質化が進み、研究・開発の加速に貢献できる可能性があります。グローブボックス内にも入るコンパクトサイズのTiny/Tiny plusで、硫化物系、ハロゲン化物系、酸化物系固体電解質の研究・開発に有用です。さらに、最小0.5 gの極少量材料でも粉砕、分散、混合が可能で、高価な材料でも効率よく研究・開発を行うことが可能となります。
新着記事:大阪公立大学全固体電池研究所にTinyが設置されました
注目されるカーボンナノチューブ(CNT)
全固体電池の性能向上には、正極活物質と固体電解質間の電子伝導経路の確保が重要です。
現在、導電助剤としては、高比表面積、分散性、コスト、実績の観点からケッチェンブラック(Ketjen Black)が広く使用されていますが
近年、カーボンナノチューブ(CNT)は以下の理由から次世代導電助剤として注目されています。
・高い導電性と連続的な電子伝導ネットワーク形成能力
・少量添加でも効果が高く、電極の高密度化に適する
・フレキシブルな線状構造により機械的ストレスや多層構造にも対応しやすい
しかしCNTは凝集しやすく、分散が非常に困難です。また強い分散力を加えるとCNTが切断され、導電助剤としての性能を失うリスクも
あります。
>> 石川式自動乳鉢(攪拌擂潰機)が、CNTの一次分散装置としての可能性を示す情報を順次追加予定です。ご期待ください。