D18S型石川式攪拌擂潰機を用いて100nm程度のフタロシアニン有機顔料のより一層の微細化をソルベントソルトミリング法で可能か検討した。
電子顕微鏡写真映像から、D18S型石川式攪拌擂潰機を用いて有機顔料をソルベントソルトミリング法より微細化できることが証明された。以下に詳細を記す。
材料名 | 製造会社 | 試料量 | 備考 |
Heliogen Blue EH2934(D7115F) | BASF | 14 g | 100nm位 |
オシオミクロン T-0 | 赤穂化成 | 70 g | 平均粒径 10μm |
Diethylene Glycol | 富士フィルム和光純薬 | 46 g | ー |
1. D18S磁器乳鉢の中にHeliogen Blueとオシオミクロンを投入し20 rpmで攪拌しながらDiethylene Glycolを添加する。
2. ダフ(Heliogen Blue,オシオミクロン, Diethylene Glycol )が満遍なく擂潰できるようにオシオミクロンを10 g追加、更に10 gずつ2回投入。トータル30gを追加する。
3. 回転数を30rpmに変更し満遍なく擂潰できるようになった。
4. 1時間後 ダフ温度 33.2度、2時間後 ダフ温度 33.5度 Diethylene Glycolが蒸発するに従って、ダフも堅締りしたためDiethylene Glycolを1ミリリットル追加、4時間後 ダフ温度
37度にて攪拌擂潰をストップする。
5. 60度のお湯にダフを入れ、一昼夜放置する。
6. 7φ2番で濾過。水で何度もダフを洗浄しダフからNaClを除去する。実際の作業は、以下の通り実施した。
洗浄ケーキにひび割れが起きたらヘラでならしながら、より脱水を進めた。水をロートにたっぷり入れて更に洗浄を進めた。ケーキがひび割れるまで濾過した後、ケーキを600
ミリリットルのお湯の中に入れて攪拌し、再び、濾過、同様の洗浄を3回繰り返し、NaClをダフから除く。
7. 濾過されたダフをアルミフォイル上にのせ、80度の乾燥機で一昼夜乾燥する。
D18Sでの擂潰後にサンプルを取り出し、透過型電子顕微鏡でテスト前後の粒子の観察を行った。
図1. ソルトミリング処理前の粒子画像 図2. ソルトミリング処理後の粒子画像
ソルトミリングは、微粒子のNaCLを用いて有機顔料を削り微細化する手法である。ソルトミリングで有機顔料が微細化すると同時に、有機顔料が再び成長する。望ましくは、微細化工程において、温度の管理が重要となる。
ソルトミリング手法で、石川式攪拌擂潰機を用いることで有機顔料の微細化が可能と判断できる。石川式攪拌擂潰機を用いることにより、小スケールで、洗浄も簡単で、ソルトミリングによる有機顔料の微細化検討を実現できると思われる。乳鉢の温度制御可能な機種も株式会社石川工場で開発されており、小スケールでのソルトミリング法で、有機顔料の微細化研究用途に応用可能と考えられる。